TPEやシリコン製のリアルドールは、その柔らかさとリアルな質感を保つために製造過程で液体のオイルなどの可塑剤が添加されています。この特性により、ドールは驚くほど自然な肌触りを実現していますが、一方で日常的な「油抜け」現象が発生しやすくなっています。この油分が衣類に移行することで、色移りや素材劣化を引き起こす可能性があるため、衣装選びには特別な配慮が必要です。
「馬子にも衣装」という言葉があるように、適切な衣装はラブドールの魅力を引き立てる重要な要素です。たとえ高価なドールでなくても、その子に合った服を選ぶことで、全く違った雰囲気を演出できます。クールな印象を与えたい時はモノトーンのシンプルなデザインを、可愛らしさを強調したい時はパステルカラーのフリル付きを選ぶなど、衣装によってドールの「性格」まで変えることが可能です。
衣類を着せる前の準備として、ドール全体にベビーパウダーを薄くまぶすことは非常に重要です。この一手間で、衣類の着脱が格段に楽になるだけでなく、ドール表面の油分を適度に吸収し、衣類への色移りリスクを軽減できます。パウダーは、関節部分や肌のシワが深い部分に特に丁寧に塗布しましょう。化粧用の大きなパフを使うと、ムラなくきれいに仕上がります。
色の濃い衣類はできるだけ避けることが賢明です。黒や紺、赤などの濃色は、たとえ高級な衣類でも染料がドールに移行しやすい傾向があります。一度色移りしてしまうと、完全に除去するのはほぼ不可能です。安全なのは、白、淡いピンク、ベージュ、薄いグレーなどの中性色。どうしても濃い色の衣類を着せたい場合は、防染色下着を着ることをおすすめします。
ドールの衣類選びでは、フィット感にも注意が必要です。体に密着しすぎるデザインや、長時間着用するタイトな衣類は、ドールの柔らかい素材に圧力痕を残す可能性があります。特にシリコン製ドールは、圧迫された状態が続くと、元に戻りにくい変形を起こすことがあるので要注意です。ゆったりとしたシルエットで、前開きタイプの衣類が理想的。また、袖を通す時は、無理に引っ張らず、ドールの腕を曲げた状態でゆっくりと通しましょう。
装飾が多すぎる衣類も避けた方が無難です。金属製のボタン、ジッパー、ビーズ、スパンコールなどは、ドールの柔らかい肌表面を傷つけるリスクがあります。特に鋭利なエッジのある装飾は、思わぬキズの原因に。安全に装飾を楽しみたいなら、刺繍やプリント、柔らかいリボンなど、平面状のデザインがおすすめです。どうしても立体装飾が欲しい場合は、ドール専用に設計されたアクセサリーを選びましょう。
季節に応じた衣装選びも楽しみの一つです。夏場は通気性の良い麻や綿素材の軽い衣類を、冬場は保温性のあるニットやフェイクファーを選ぶと良いでしょう。ただし、夏場の直射日光下や冬場の暖房器具の近くなど、温度変化の激しい環境での長時間着用は避けてください。TPEやシリコンは温度変化に敏感で、高温下では柔らかくなりすぎて変形しやすくなります。
衣類の収納にもコツがあります。使用後は必ず陰干しして湿気を飛ばし、型崩れ防止のため平らに保管しましょう。長期保管する場合は、防湿剤を入れた密封容器にしまうのが理想的です。衣類を何枚も重ねて着せたままにしておくのは、変形や色移りの原因になるので避けてください。色移りを予防・解決には、こちらのブログを参照してください
https://www.whodoll.com/dyed-love-dolls
適切な衣装選びと着せ付けは、ドールを長く美しく保つための大切なケアです。これらのポイントを押さえれば、安全におしゃれを楽しむことができます。ドールの素材特性を理解し、その子にぴったりのスタイルを見つけてあげてください。
